本コラムでは運動の翌日にだるいと感じる方へ、その原因や対処方法をご紹介します。運動後、筋肉疲労で体がだるくなるメカニズムや原因、だるさをなるべく軽減させる予防策、運動前、運動中、運動後の対処方法をお伝えします。
また考えられる病気の可能性、運動のし過ぎや過労のサイン、疲労感を回復させるポイントまでご紹介していますので最後までご一読ください!
運動の翌日がだるい?身体の変化や原因とは
運動後に体がだるくなるとは?どんな症状や原因がある?
運動後に体がだるいとは、運動によって筋肉や体全体に疲労物質が蓄積されることで、疲労感や倦怠感、筋肉痛などの症状が現れることです。
運動後に体がだるくなる代表的な症状
・全身倦怠感
・筋肉痛
・頭痛
・食欲不振
・眠気
・気力低下
まず考えられる原因としては「筋肉疲労」です。激しい運動をすると、筋肉の細胞が損傷し、炎症を起こします。この炎症が治癒する過程で、炎症物質が放出され、筋肉痛や全身倦怠感などの症状を引き起こします。
そして「オーバートレーニング症候群」も1つの理由になりえます。過度な運動や不十分な休養によって、疲労物質が体内に蓄積し、体が疲労状態に陥ってしまうことがあります。これをオーバートレーニング症候群といいます。オーバートレーニング症候群になると、筋肉痛や倦怠感に加えて、食欲不振や気力低下などの症状が現れることがあります。
運動後に体がだるい場合は、筋肉疲労やオーバートレーニング症候群が原因である可能性があります。十分な休養と栄養をとって、体をケアしましょう。
筋肉疲労で体がだるくなるメカニズムとは?
筋肉疲労とは、運動によって筋肉の働きが低下し、疲労感や倦怠感、筋肉痛などの症状が現れることです。筋肉疲労が起きるメカニズムには、以下の2つが挙げられます。1つ目は「筋肉のエネルギー不足」です。筋肉は、運動によってATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを消費します。ATPが不足すると、筋肉の収縮力が低下し、疲労感や倦怠感を感じるようになります。
2つ目は「筋肉の損傷」。激しい運動をすると、筋肉の細胞が損傷します。この損傷が治癒する過程で、炎症物質が放出され、筋肉痛や全身倦怠感などの症状を引き起こします。筋肉疲労によって体がだるくなるのは、筋肉のエネルギー不足や損傷が原因です。筋肉疲労を予防・改善するためには、適度な運動量を守り、バランスの良い食事を摂り、十分な睡眠をとることが大切です。
ストレッチの次の日は体がだるくなる(気持ち悪くなる)こともある?
ストレッチにより「好転反応」が出る場合があります。好転反応とは、体が健康な状態に戻ろうとする過程で、一時的に体調が悪くなる状態を指します。ストレッチによって筋肉がほぐれ、血行やリンパの流れが良くなることで、体内に溜まっていた老廃物や毒素が排出され、好転反応が起こると考えられています。
好転反応の一例
・倦怠感
・眠気
・筋肉痛
・頭痛
・発熱
・下痢
・吐き気
・鼻水
・鼻づまり
好転反応は、ストレッチをした翌日や2日目に現れることが多いです。症状の程度は人によって異なり、軽い症状で終わる人もいれば、数日間症状が続く人もいます。この好転反応を予防するには、無理のない範囲でストレッチを行うこと。またストレッチを続けることで、筋肉の柔軟性が向上し、好転反応が起こりにくくなります。
オーバーワークや疲労感が原因でだるさが続く場合は、医師や専門トレーナーに相談することをおすすめします。
運動後のだるさを解消しよう!対処方法や解決策
運動後のだるさを解消する応急処置(対処法)
筋肉痛によるだるさは、通常は1〜2日で自然に治まります。対処法としては、以下のようなものが挙げられます。
対処法1:十分な休息をとる(睡眠量を増やす)
運動後、すぐに休息をとることで、筋肉の炎症を抑え、痛みやだるさを軽減することができます。
対処法2:水分をこまめに補給する(水分補給量を増やす)
運動によって体内の水分やミネラルが失われるため、水分やミネラルをこまめに補給することで、筋肉の回復を促すことができます。注意点としてカフェインやアルコールは、交感神経を刺激し、興奮状態を維持する働きがあります。疲労回復を妨げる可能性があるため、オーバーワーク後は摂取を控えましょう。
対処法3:栄養バランスの良い食事をとる
筋肉の回復には、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が必要です。特に鶏肉や卵、魚などからのタンパク質の摂取を心がけてみましょう。栄養バランスの良い食事をとることで、筋肉の回復を促すことができます。
対処法4:痛みのある部分を冷やす
運動後、特にハードワークした患部を冷やすことで、炎症を抑え、痛みやだるさを軽減することができます。冷却には、アイシングタオルや氷枕などを使うとよいでしょう。
対処法5:軽いマッサージやストレッチを行う
痛みが和らいだらぬるま湯で優しくマッサージを行ったり、お風呂上がりにストレッチを行う(5〜15分程度)ことで、血行が良くなり疲労回復につながります。
もし「痛みやだるさが3日以上続く」「痛みがひどく、日常生活に支障をきたす」「発熱や関節の腫れ、頭痛などの症状が出る」などの症状が現れる場合は、無理をせずに医療機関を受診するようにしましょう。
運動前のウォーミングアップや、運動後のクールダウンをしっかりと行うことで、筋肉痛や疲労を軽減することができます。
運動後のだるさをなるべく発症させない予防策は?
運動後は、筋肉が損傷して疲労物質が蓄積することで疲労感を感じます。この疲労感を軽減するためには、以下の方法が有効です。
予防策1:運動前の事前準備
運動前の準備をしっかりすることで、筋肉の損傷を防ぐことができます。ウォーミングアップは、10分程度を目安に、軽いジョギングやストレッチを行いましょう。ウォーミングアップで筋肉を温めて柔軟性を高め、水分と栄養をしっかり摂っておくことが大切です。
予防策2:運動後のアフターケア
運動後は、筋肉の疲労を回復させるために、クールダウンと栄養補給をしっかり行いましょう。運動後は、5分程度の軽いジョギングやストレッチでクールダウンを行うことがおすすめです。クールダウンは、軽い運動やストレッチで筋肉をほぐし、血行を促すことで疲労物質の排出を促します。また、運動後は、たんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)や糖質をしっかり摂取することで、筋肉の修復と回復を促します。
予防策3:無理のない運動量
運動量が多すぎると、筋肉の損傷が大きく、疲労感の蓄積につながります。適切な運動量とは、健康を維持するために必要な運動量のこと。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」における運動指針では、18歳以上の成人の場合、1週間に150分以上の中強度以上の有酸素運動を行うことが推奨されています。
中強度以上の有酸素運動とは、息がはずみ、会話が少し困難な程度の運動です。具体的には、ウォーキング、ジョギング、水泳、ダンス、サイクリングなどが挙げられます。自分の体力や体調に合わせて、無理のない運動量を心がけましょう。
予防策4:休養をしっかりとる
運動後は、十分な休養をとって、筋肉の疲労を回復させましょう。十分な休養をとることで、筋肉の修復と回復が促され、疲労感の蓄積を防ぐことができます。
だるさがひどい場合や、頭痛や吐き気などの症状がある場合は、無理をせずに休養をとりましょう。違和感が数日以上続く場合は、病気が隠れている可能性もありますので、早めに医療機関を受診しましょう。
運動のやりすぎに注意!疲労や休んだ方がいいサイン
運動のやりすぎで起こる身体の症状は?
運動のやりすぎは、オーバートレーニング症候群を引き起こす可能性があります。オーバートレーニング症候群とは、過度な運動によって、身体にさまざまな不調をきたす症候群のことです。
運動のやり過ぎで現れる症状例(オーバートレーニング症候群の症状例)
・筋肉痛や疲労がなかなか回復しない
・風邪などの感染症にかかりやすくなる
・安静時の血圧が上昇する
・意欲が低下する
・食欲不振
・体重の減少
・集中力の欠如
・安静時の心拍数や血圧の上昇
・不安やイライラ
・不眠
・うつ症状
これらの症状が現れたら、オーバートレーニング症候群を疑い、運動量を減らしたり、休養をとったりすることが大切です。
過労で倒れる前兆(ストレスが限界に達した時に出る前兆)サイン
過労とは、仕事やその他の活動によって、心身に過度の負担がかかり、身体的・精神的な健康を害すること。過労の原因は、長時間労働、過度のストレス、不規則な生活などが挙げられます。
過労で倒れる前兆サイン(例)
肉体的症状
・頭痛
・めまい
・立ちくらみ
・吐き気
・胸痛
・息切れ
・手足のしびれ
・けいれん
・食欲不振
・不眠
・抜け毛
・肌荒れ
・疲れがとれない
・体調を崩しやすく、風邪をひきやすいなど
精神的症状
・イライラする
・気分が落ち込む
・不安や焦りが強くなる
・集中力がなくなる
・やる気が出ない
・うつ症状など
これらの症状が現れたら、過労が限界に達している可能性があります。早めに休養をとったり、ストレスを解消する方法を見つけたりすることが大切です。さらに末期症状としては「突然、意識を失う」「片側の手足が動かなくなる」「ろれつが回らなくなる」「記憶障害(記憶喪失)」などが出る場合もあります。
過労は、重大な健康被害を引き起こす可能性があります。自分の体調に気を配り、早めに休養や対策をとりましょう。
運動の翌日にだるいと感じる方へ!関連する質問(Q&A)
筋肉痛でだるいしすごく眠い?原因や対応策は?
筋肉は、使いすぎると疲労物質が蓄積され、だるさや眠気を感じやすくなります。また、筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンの枯渇も、だるさや眠気の原因となります。運動後急にくる眠気は「血糖値の低下」「副交感神経の優位」などが原因になっているのです。
また「慢性的な筋肉疲労」が原因になることもあります。運動やストレスなどの原因で、筋肉の疲労が長引く状態です。慢性的な筋肉疲労になると、だるさや眠気に加えて、倦怠感や頭痛、食欲不振などの症状が現れることもあります。
運動後は、血糖値を上げるために、軽食やプロテインシェイクを摂るとよいでしょう。またゆっくりとストレッチをすることで、副交感神経の働きを高め、リラックス状態を促すことができます。
運動してすぐ疲れるのは何かの病気の前兆?
ここまで説明したように、何かの病気が原因ではなくて、単に運動による一時的な疲れがほとんどでしょう。ただしだるさが数日続く場合や、重度の疲労感を感じる場合、病気の疑いもあります。
運動を始めたばかりの人や、運動量を急激に増やした人、または、運動後十分に休息をとれていない人は、オーバートレーニング症候群の可能性もあります。
もし、運動量の変化や生活習慣の乱れがないにもかかわらず、疲れやすいという症状が続く場合は、病気の可能性も考えられます。疲れやすい症状を伴う病気としては、以下のようなものが挙げられます。
考えられる病気の可能性(例)
・貧血
・甲状腺機能低下症
・糖尿病
・慢性腎臓病
・慢性疲労症候群
・線維筋痛症
これらの病気は、それぞれに特徴的な症状がありますので、気になる症状がある場合は、医療機関を受診して検査を受けることが大切です。生活習慣の乱れが原因で疲れやすい場合は、十分な睡眠をとり、バランスの良い食事を心がけ、ストレスを溜めないようにすることが大切です!
記事のまとめ:運動の翌日にだるいと感じる方へ
このコラムでは、運動後のだるさ、翌日の疲労感の原因や対処法をお伝えしました。基本的には一時的なハードワークによる疲労感の場合がほとんどと言えるでしょう。ただし、重度の疲労感を感じている場合は早急に専門医の診断を受けましょう。
また日頃から、疲労感をなるべく減らすために、そして素早い身体の回復を実現させるために、運動前、運動中、運動後でポイントに注意して実践してみましょう!今感じている疲労感を、少しずつ改善をしていくことがきっとできるでしょう。